本橋信宏「歌舞伎町アンダーグラウンド」
すべての欲望を飲み込むこの街で
“かぶく”者たちの群像劇がはじまる――
2001年9月1日未明、44人もの死者を出した明星56ビル火災は、歌舞伎町最大の悲劇だった。
このビルにまつわる人物たちが交錯したことが、本書を書き下ろすきっかけにもなった。
悲劇を知る人物たちを追いかける……それは東洋一の殷賑地帯、新宿歌舞伎町を追う旅でもあった!
戦後、焼け野原の街を復興させるべく、地元有志が歌舞伎劇場の建設を目指したものの、主役の歌舞伎劇場がなかなかやってこない。街は主役不在のまま歴史を刻みはじめる。やがて、未完に終わった歌舞伎劇場の怨念か、歌舞伎町は女と男がかぶく街になった。
歌舞伎町は、靖国通りを四角形の下辺とすると、上辺は職安通り、向かって左側は西武新宿駅前通り、右側は明治通りになる。
四角いエリアの真ん中を昭和初期に暗渠にして通ったのが花道通りだ。
花道通りは歌舞伎町の中央を横切るまさに花道であり、この道から靖国通りまでを歌舞伎町一丁目、反対側の職安通りまでを歌舞伎町二丁目と分けている。
歌舞伎町一丁目はJR新宿駅から流れてくる人々を吸い込む、いわば表の歌舞伎町であり、ひらけたエリアである。都内最大級のシネコン「TOHOシネマズ新宿」をはじめ、超高層ホテル「ホテルグレイスリー新宿」が入るビルとして人気を集め、最近ではこの建物の足下に蝟集し、倦怠感をちらつかせる若者たちをトー横キッズと呼んでいる。
一方、歌舞伎町二丁目はディープ歌舞伎町とでもいうべきエリアである。
このさほど広くない歌舞伎町には、人間の欲望を満たす施設がすべてそろっている。
本書に登場する男女によって、今、歌舞伎町は脈動をはじめることになる。
そして、あなたの知らなかった歌舞伎町の全貌がここに明らかになっていく。
▪️目次
プロローグ
第一章 歌舞伎町最大の惨劇を追う
第二章 ぼったくりの帝王と入れ墨の女王
第三章 不夜城の出自
第四章 ヤクザの街で暮らす女
第五章 職場は歌舞伎町
第六章 キャバクラ嬢、半生を打ち明ける
第七章 ホストの群れ
第八章 稼業の男たち
第九章 様々な色恋
最終章 旅の終わりに
あとがき
本橋信宏:1956年埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。半生を振り返り、バブル焼け跡派と自称する。執筆内容はノンフィクション・小説・エッセイ・評論。
発売日:2023/4/21
判型:単行本(ソフトカバー)
ページ数:416ページ
ISBN-10:4909646663
ISBN-13:978-4909646668
サイズ:18.8 x 12.7 x 15 cm
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