逮捕後の流れ|留置場・拘置所・刑務所まで
逮捕=すぐ裁判、ではありません
日本の刑事手続きは、逮捕 → 勾留 → 起訴・不起訴 → 裁判 → 判決という段階を踏んで進みます。段階ごとに、本人がいる場所も、届けられるものも変わります。
このページでは、逮捕直後から判決確定までの流れと、家族・パートナー・友人など、周囲の立場から整理しておきたいポイントを解説します。
全体の流れ(目安)
- 逮捕(最長72時間)|留置場|一般の差し入れは受け付けない警察署が多い
- 勾留(10日、延長で最長20日)|多くは留置場|服・本の差し入れができるようになる
- 起訴後〜裁判(数か月以上かかることも)|原則は拘置所|服・本の差し入れ
- 判決|執行猶予なら釈放、実刑なら確定を待つ
- 刑の確定後|拘置所 → 刑務所|差し入れは本が中心(服は原則不可)
※ 途中の段階で釈放され、手続きが終わる場合もあります。
連絡が取れない・どこにいるか分からない場合
急に連絡が取れなくなって、あとから逮捕されていたと分かる。そういうケースは珍しくありません。
逮捕されると、本人は自分で電話をかけることができません。スマホも預けることになるため、家族やパートナーの電話番号を覚えていなければ、伝えようにも伝えられないこともあります。連絡が来ないのは、本人が知らせたくないからとは限りません。
多いのは、弁護士を通じた連絡
逮捕された人は、当番弁護士を呼ぶことができます。各地の弁護士会が派遣する弁護士で、1回目の面会は無料です。逮捕直後から、警察署まで本人に会いに来てくれます。
本人が当番弁護士を呼べば、その弁護士を通じて家族や知人に連絡してもらえることがあります。ただし、本人が相手の番号を覚えていることが前提です。
また、勾留が決まると、本人が希望すれば国選弁護人(国が費用を負担する弁護士)をつけられます。最初に来た当番弁護士が、そのまま国選、または私選の弁護人として続けて担当することも多いです。当番弁護士を呼んでいなくても、勾留後に弁護士から連絡が来ることがあります。
反対に、どこの警察署にいるか分かっていれば、家族などの側から弁護士会に連絡して、当番弁護士に面会に行ってもらうこともできます。
※ 警察が家族に知らせる義務はありません。本人が頼めば警察から連絡が来ることもありますが、来ないこともあります。
※ 勾留が決まると、裁判所から勾留の通知が出ます。ただし、届くのは本人が指定した親族1人(配偶者・親・子・兄弟姉妹など)で、弁護士がついていれば弁護士に届きます。パートナーや友人には、公的な知らせは届きません。
弁護士の役割や、国選・私選の違いについては、弁護士のサポートと役割をご覧ください。
勾留先を調べるには
勾留先の調べ方は、こちらで詳しく解説しています。
1. 逮捕直後|留置場に収容される段階
差し入れはまだできないことが多い段階です。ただ、準備はできます。
この段階の立場:被疑者
警察・検察の捜査を受けている段階です。
- 逮捕後、警察署内の留置場に収容されます
- 警察は48時間以内に検察へ送致(送検)し、検察は24時間以内に勾留を請求するかを判断します
- この間に釈放されることもあります
※ この72時間は、 勾留されるか、釈放されるかを判断するための期間です。
この時期に周囲ができること
- 一般面会・一般差し入れ:受け付けない警察署が多い(勾留が決まるまで、最長72時間)
- 弁護士への相談・依頼:可能(弁護士は逮捕直後から本人と面会できます)
- 勾留先の確認
- 着替えや本の準備
※ 弁護士のあてがない場合は、各地の弁護士会に連絡すれば、当番弁護士に面会に行ってもらえます(初回無料)。
留置場では、逮捕時の服のうち施設のルールに合わないものは、貸出用の衣類に着替えて過ごします。貸し出される衣類や下着は使い古されたものです。勾留が決まって差し入れができるようになったらすぐに届けられるよう、ルールに合った着替えを用意しておくことをお勧めします。
2. 勾留決定後|留置場での生活と差し入れ
「何かしてあげたい」という気持ちを、行動に移せるようになる段階です。
この段階の立場:被疑者
引き続き捜査を受けており、起訴されるかどうかが判断される段階です。
- 勾留が決定すると、最大10日(延長で最長20日)身柄拘束されます
- 多くの場合、引き続き留置場で勾留されます
- 状況により拘置所へ移送されることもあります
※ 逮捕後の期間と勾留期間を合わせると、身柄拘束は通算23日間に及ぶことがあります。
この時期から可能になること
- 本・服などの一般差し入れ:可能
- 面会・手紙:可能(※接見禁止が付いた場合を除く)
※ 接見禁止が付くと、家族や友人でも面会や手紙のやりとりができません(弁護士は面会できます)。ただし、差し入れは認められることが多いです。
※ 可否は施設の運用や、接見禁止の有無によって異なります。
まず必要なのは、着替え
着替えが届くまでは、逮捕時の服や施設から借りた衣類で過ごします。洗濯の回数も限られていて、週に1回程度という施設もあります。まずは着替えを届けることをお勧めします。
洗濯に出している間も着られるよう、数日分の着替えがあると回しやすくなります。下着や靴下も必要です。
着替えの渡し方
服の差し入れには、紐・フード・金具・ボタンのあるものは差し入れできないなど、形状の条件があります。条件は施設によって異なります。
渡し方は、施設へ郵送するか、面会のときに窓口へ持参するかのどちらかです。郵送を受け付けているか、窓口の受付時間などは、施設ごとに確認が必要です。
当店から施設へ直接届ける方法は差し入れ代行、ご自宅で受け取ってご自身で窓口へ持参する方法は窓口持参をご覧ください。当店のスウェットパンツは、紐を抜いて穴を塞いだ状態で発送しているため、そのまま差し入れることができます。
服の条件について詳しくは、差し入れできる服についてをご確認ください。
本も、勾留が決まったときから
勾留中は、取り調べ以外の時間がとても長くなります。本は、その時間をやり過ごす手段であり、外の世界とつながる数少ないものです。
一方で、1回に差し入れできる冊数(3冊までなど)や、手元に置ける冊数には上限があることが多く、一度にたくさんは届けられません。まとめて送るより、読み終わる頃に次の本を届ける。一度きりではなく何度も差し入れることが、そのまま支えになります。
いま、選ばれている本
勾留の期限までに、起訴されるかが決まります
不起訴や処分保留、略式命令(罰金)となった場合は、その時点で釈放されます。起訴された場合は、次の段階に進みます。
3. 起訴後|拘置所への移送、または留置場のまま
拘束が長引くにつれ、差し入れの持つ意味が大きくなっていく段階です。
この段階の立場:被告人
起訴され、裁判によって有罪・無罪が判断される立場になります。
- 起訴されると、裁判に進みます
- 原則は拘置所へ移送されます(移送の時期は起訴の直後とは限りません)
- 状況により、留置場に留まる場合もあります
- 起訴後の勾留は2か月で、その後は1か月ごとに更新されます
※ 接見禁止が付いていた場合も、起訴後に解除されることがあります。
保釈について
起訴されると、保釈を請求できるようになります。起訴される前(逮捕・勾留中)には、保釈の制度はありません。
- 請求は、ふつう弁護士を通じて行いますが、家族が請求することもできます
- 認められると、保釈金(正式には保釈保証金)を納めて釈放されます
- 保釈金の額は事件や本人の状況によって変わりますが、150万〜300万円程度になることが多いです
- 裁判に出廷するなどの条件を守れば、保釈金は裁判が終わったあとに戻ってきます
- 保釈が認められず、勾留が続くこともあります
保釈金をすぐに用意できない場合は、日本保釈支援協会など、保釈金を立て替える団体を利用する方法もあります。家族や知人が申し込み、手数料がかかります。利用には担当の弁護士の協力が必要なので、まずは弁護士に相談してください。
※ 保釈の請求や結果を待つ間も、差し入れは続けられます。
※ 移送されると、届け先も変わります。差し入れの前に、いまどの施設にいるかを確認してください。
外部との接点が限られるため、 本や手紙などの差し入れが、精神的な支えや時間をやり過ごす手段になることが多い段階です。
裁判が終わるまで、数か月以上かかることもあります。本は続けて、季節が変われば着替えも。届け続けることが、外で待っている人がいるという実感につながります。
4. 判決|その日に釈放される場合と、そうでない場合
判決の内容によって、本人のその後が大きく分かれます。
- 執行猶予付きの判決や罰金刑の場合は、判決の言い渡しで釈放されます
- 実刑判決の場合は、判決後も拘置所などに留まります
- 判決から14日以内に控訴しなければ、判決が確定します
※ 控訴している間は、判決が確定していないため被告人(未決)のままです。服・本の差し入れも、これまでと同じように続けられます。
5. 実刑判決確定後|刑務所へ移送されるまで
差し入れのルールが、施設ごとに大きく変わる段階です。
この段階の立場:受刑者
判決が確定し、刑の執行を受ける立場になります。
- 実刑判決が確定すると、刑務所への移送が予定されます
- 差し入れ・面会のルールは施設ごとの細則に大きく左右されます
- 事前に施設ごとの規定を確認する必要があります
※ 2025年6月から、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。刑務作業が一律の義務ではなくなり、本人の年齢や特性に応じた指導・教育が組み合わされるようになっています。
刑務所では、所内で着用する服の差し入れは原則できません。差し入れは本が中心になります。到着から交付までに、数日以上かかることもあります。
※ 判決が確定しても、すぐに刑務所へ移送されるとは限りません。
実務上は、判決確定後もしばらく拘置所に留まったまま、
刑務所への移送を待つ期間が発生することがあります。
この期間は「受刑者(既決)」として扱われ、 差し入れや面会のルールも未決時とは異なります。
周囲の人にできること
できることは限られていますが、ゼロではありません。
- 現在どの段階かを把握する
- 勾留先を確認する(移送されたら、届け先も変わります)
- 勾留が決まったら、まず着替えを届ける
- 本を、何度でも届ける
- 必要に応じて弁護士へ相談する
状況がわからないまま動くより、
「今どの段階か」を把握することが、次の行動を落ち着いて選ぶ手がかりになります。
