遠藤周作「海と毒薬 新装版」

定価 ¥748
出版社 講談社

断れなかった。
ただ、それだけだった。

戦争末期、九州の大学附属病院で、捕虜となった米軍兵士が生きたまま解剖された。その手術に立ち会ったのは、出世欲も悪意も持たない、気弱で平凡な若い医師・勝呂だった。なぜ彼は拒まなかったのか。同じ場にいた同僚の戸田、看護婦の上田、それぞれの来歴をたどりながら、人が「流されて」一線を越えていく過程を静かに描き出す。

1945年に実際に起きた九州大学生体解剖事件をもとにした長編。罰する神を持たない人間にとって、罪の意識とは何なのか。発表から70年近く経った今も、その問いは読む者に突きつけられる。新潮社文学賞・毎日出版文化賞受賞。1986年には熊井啓監督により映画化された。解説は夏川草介。

遠藤周作:1923年東京生まれ。慶應義塾大学仏文科卒業後、フランスに留学。1955年『白い人』で芥川賞を受賞。カトリック作家として、日本人と信仰、罪と赦しを問い続けた。代表作に『沈黙』『深い河』など。1996年死去。

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書誌情報
解説:夏川草介
発売日:2011年4月15日
仕様:文庫判
ページ数:232ページ

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